金型と成形技術を
目にする貴重な機会

「サンプルワークにわが社の技術を詰め込んだ」と力説する大場祐太郎取締役
CZのBゾーンでは「医療に生かす金型メーカーの技」をテーマに、狭山金型製作所とファナックの協力で、射出成形を実演加工する。
工作機械見本市の会場では、出展者も含めて、金属の切削加工の実演は多い。しかし、金型を使った射出成形の実演は、なかなか見られるものではない。来場者にとって、微細精密な金型を使った成形技術を目にする貴重な機会となるだろう。
会場では、狭山金型製作所が医療向けに得意とするマイクロ流路などを搭載した厚さ2mmのプレート状のサンプルワークを成形する。裏面にフィルムを張ると、実際に使える形状だ。
大場祐太郎取締役は「医薬品の開発現場では、倫理面から動物実験が年々難しくなっている。そこで、生体模倣システム(MPS)に注目が集まる。欧米を中心に、人の毛細血管や臓器の内部構造などをイメージしたマイクロ流路や複雑形状を実験機器に搭載して代替する潮流になっており、需要が拡大している」と語る。
同社は、コネクターなどの電子部品や半導体関連部品などの微細精密な金型の開発設計から製作、射出成形までの一連の事業を手掛ける。企画開発の段階から顧客への提案や相談を繰り返して、成形品の付加価値を高めていく形を得意にする。
微細精密な金型の加工技術や提案型の進め方を生かせる分野として、2009年からは医療産業への参入を本格化させた。海外も含めた展示会などでアピールを続け、数年の苦労の末、初めて受注できたのが検査キットだった。そこから実績を積み重ね、今では血管に埋め込む治療器具など人体に直接使う機器も手掛けている。