主催:株式会社ニュースダイジェスト社 | 共催:愛知県機械工具商業協同組合


ニュースダイジェスト社は2月17日、メカトロテックジャパン2011(MECT2011)出展募集状況を中間集計したところ、約200社・団体から1000小間規模の出展がほぼ確実であることがわかった。
MECTは2011年展から、主催・ニュースダイジェスト社、共催・愛知県機械工具商業協同組合で新たにスタート。目標小間数を09年展の1178小間を上回る1200小間と設定し、昨年10月から募集を開始。
募集締め切り(4月28日)まで集計時点から2カ月余りあり、新たに航空機をテーマにした世界初のグローバルカンファレンス「TRAM3」の同時開催も決定、1200小間を上回るのは間違いないと見られる。
MECT2011のテーマは「日本中のものづくりを元気にしたい」、展示とセミナーのコンセプトは「未来へつなぐ、ものづくりNEXT」。「TRAM3」の航空機をはじめ、CFRP加工実演、クルマの未来を探るセミナー、中小企業の魅力をアピールするブースなど、盛りだくさんだ。
豊電子工業(愛知県刈谷市)はMECT出展でビッグチャンスをつかんだ。搬送ロボットシステムがコマツの目に留まり、とんとん拍子に商談が進み、コマツ小山工場に導入。エンジン部品のコンロッド生産ラインは生産効率が向上、MECTが取り持つ縁を紹介する。
豊電子工業はMECT2007に搬送ロボットシステムを出展していた。大がかりなシステムは人目を引き、注目を浴びた。当時コマツ小山工場でコンロッド生産ラインを担当していた大谷敏彦技師には新たなロボットシステムラインの基本構想があり、「やれる会社を探していた」。
コマツと懇意で、大谷技師が搬送ロボシステムを探しているのを知っていた三立興産宇都宮営業所の上野秀明係長が、豊電子工業の搬送ロボットシステムを見て両社をつないだ。すぐさまアポを取り付け、大谷技師が直接MECTに赴き、商談はトントン拍子に進む。MECT開催が07年10月、翌08年7月にはシステムがコマツ小山工場に据え付けられた。
既製のシステムで事足りたわけではない。たとえば、パレットのワークをロボットがマグネットハンドで加工機に入れるが、ハンドの構造にも工夫が。2つの磁石が90°の傾きを作るよう取り付けられていて、クーラントによる不具合を防止、機械の間口が狭く済む、などのメリットを生み出している。
本ライン適用のマグネットハンドは、最大ワーク重量6kgという制限はあるが、加工ラインでの運用にはマッチしている。システムインテグレートを担当したのが豊電子工業だ。SI第2営業部の武田英彦副部長は、システムの肝は①切粉が付かないマグネットハンドの制御②ハンドの形状③全体運用、という。ロボットはファナック、信頼性はお墨付きだ。マグネットハンドはコマツと豊電子工業が共同出願しているが、積極的に外販するという。
24時間可動でほぼ無人運転。省人化の効果もあり、18人の作業者が8人に。1個流しの自動化ラインは全15工程。工作機械10台、ロボット5台、計測機器4台でラインを構成している。生産性は2.1倍、一人当たりの生産性は7.1倍、面積あたりの生産性は3.3倍に向上した。
メカハンドで行っていた作業を磁石で代替。メカハンドは工程ごとに切り替えが必要だった。磁石であれば切り替えが不要。汎用性が高く、使い勝手が格段に良い。磁石といえば、切粉がついてしまうことが問題だったが、磁石メーカーとテストを重ね、磁界の消し方を制御できるようになった。
メカハンドの方がワーク可搬重量は重い。スピードは磁石でのハンドリングの方がかかる。しかしトータルでの生産効率が上がった。1つのワークは6面から加工するが、1つのマグネットハンドでOK。コンロッド素材は鍛造ゆえ黒皮があり、磁石が摩耗するため、磁石の焼き入れなども検討された。細かい点での調整を含め、改良を重ねた。
それまでの搬送システムはガントリーローダー。出し入れは上からのみ、搬送のため経路内に機器は置けないなど制限が大きかった。大谷技師は、より自由度を高めようとロボット搬送システムの導入を構想。生産技術としてのテーマはズバリ「コストダウン」。反転機などが要らないため、ライン面積は従来から40%の削減に成功。導入コストは半減近いという。工程ごとに必要だったロボットハンドも2つだけになり、扱いやすさも大幅に向上した。
磁石にマイナス電流を流し磁界を自在に操る「消磁」の機能を高めた消磁機能付きマグネットハンドは、バリ取りロボットにも流用されている。大谷技師は「このシステムには、周りを納得させられるだけの強さがあった」と振り返る。
もともとマグネットハンドは、プレス加工のワーク取り出しなどで使われてはいた。そこに目をつけたのが大谷技師。大学で応用化学を専攻し、粉末冶金の技術者だったこともあり、違う角度から物事を眺めることが出来たのだろう。「王道を歩んできた生産技術者ならこのラインは思いつかなかった」と話す。現在はコンロッドなどの材料研究に異動し、耐久性や価格低減などに取り組んでいる。自ら構想、実現した「大谷ライン」が現場への置き土産になった格好だ。
導入現場は産業ロボットの実験場だったこともあり、衝突時の軸ズレ、ティーチング修正等の苦労でロボットに対してアレルギーがあった。そこで、ワークローディングが5mmズレても加工治具側で姿勢制御するよう工夫してティーチングを簡素化、マグネットチャックによりロボット軸とハンド機構の故障ゼロ化という目標を構想に盛り込み、現場の人々を納得させることができた。必然的に、この構想を100%やり切れるメーカーが必要となったわけだ。
投資の削減は全体で約30%。「段取りの手間が劇的に向上したのが大きい効果を上げた」。また、このシステムの導入で、混流生産にもフレキシブルに対応することが出来る。搬送システムの変更はプログラム選択だけで済む。「リーマンショックの中でも、改善のための予算が下りた。導入効果は狙い通り」という。
課題は、ワーク着脱のOK/NGを見極める手立て。確度を上げるためのカイゼンは今後の取り組みとなる。
豊電子工業の武田副部長は「MECTでの出合いがあればこそ」と振り返る。
(2011年3月号)
<<月刊・生産財マーケティング>>
ニュースダイジェスト社が発行する設備財関連の専門誌。2010年で創刊47年目を迎えた。
世界の業界情報、国内外の工作機械展レポート、最新の工業統計など資料価値も高く、
業界から高い評価を得ている。